2012年4月21日土曜日

直下地震から地域を守る!! 〜建物の耐震化〜


(1)上方修正された首都直下地震の被害想定
東京都防災会議が被害を想定した地震のパターンが東日本大地震後の知見をもとに見直され、2006年には2パターンだったものが、従来の東京湾北部地震、多摩直下地震に元禄型関東地震と立川断層帯地震を加え4パターンに増えた。被害想定もこれまでのものより、上方修正されたことにより注目を集めている。

もっとも大きな被害が予想される東京湾北部を震源とする直下地震では震源の深さがこれまでの想定より10kmから所によって15kmも浅いことがわかり、マグニチュード7.3の場合、これまでより震度6強の地域が45%増え23区の7割に及ぶという。また、これまで想定になかった震度7の地域も点在する。

全壊建物11万6千戸、消失建物は2万棟をこえ、死者数が2006年の前回想定(最大6400人)の1.5倍となる最大9700人に上ると予想される。これはあくまでもひとつの仮定での想定なので、震源の位置がずれれば震度分布も変わるので、この震度分布図で震度が低いからといって安心してはならないということだ。

◯東京湾北部地震(M7.3)の自治体別被害想定


◯新たに試算した首都直下地震の震度分布の一例


(2)建物の倒壊が火災を拡大する
地震で深刻なのが建物の倒壊と火災による死者数の増加だ。特に木造密集地域では街路が狭く一旦火災が発生すると、はじめは数カ所からの出火が次々に延焼し広域にわたって街を焼き尽くすようなことが起こる。


狭い街路では建物や塀の倒壊で道がふさがれ、消火活動や避難の障害になる。倒壊した建物から発生した火災は消化することがほぼ不可能なので火災の拡大につながる。深夜早朝に地震が発生した場合には、多くの圧死者がでることも予想されることから建物の耐震補強をすすめ倒壊建物の数をできるだけ少なくすることが急務となっている。

(3)首都直下地震に対する備え 〜建物を倒壊させない〜
阪神淡路大震災で明らかになった建物の被害状況をみると、建物の構造基準が改正された年を境に被害状況に大きな差があることがわかる。
下図のように建築年代が1971年以前、1971年から1981年、1981年(新耐震基準)以降の3グループに分けたときの被害程度別の軒数を示したグラフを見ると特に大破、倒壊・崩壊で大きな差が現れている。


◯耐震基準の改正時期
(TaisinNetから引用)

◯建築時期と被害状況
(TaisinNetから引用)

1981年(昭和56年)以前に建てられた建物は新耐震基準に対して強度不足となるため倒壊する可能性が高いのだ。各地の自治体で行なっている耐震診断、耐震改修に対する助成制度も1981年以前に建てられた建物が対象となっている。

政府・中央防災会議が大地震の被害度判定に使っている、「全壊率テーブル」は別の年代別建物グループの被害状況をみると昭和35年(1960年)以前の古い建物はさらに倒壊割合が増えることがわかる。


政府・中央防災会議が大地震の被害度判定に使っている、「全壊率テーブル」



(4)大地震への備え 〜人の命と街を守るために耐震診断と耐震改修を!〜
東京都の各自治体では耐震診断、耐震改修の費用を助成する制度があるので、それぞれの地域でどんな制度になっているか下記のリンクから調べることができる。

<耐震診断の助成制度一覧表
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kenchiku/taisin/kn_t05_2.pdf
耐震改修の助成制度一覧表
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kenchiku/taisin/kn_t05.pdf

例えば練馬区では一戸建て木造住宅の精密診断に支払限度30万円、補助率(上限)が費用の2/3まで支給される。非木造では支払限度100万円、補助率(上限)が費用の2/3となっている。
同じく耐震改修の場合支払上限100万円、補助率2/3となっている。

自治体によって助成制度がまちまちなので、自分が住むまちの役所で調べてみよう。精密診断と耐震改修は経験のある建築設計事務所に相談してほしい。リフォームや断熱補強と合わせて耐震改修を行なうケースも多いようだ。

1981年(昭和56年)以前に建てられた住宅用途の建物であれば助成の対象になるので、この助成制度を利用して自分の家の耐震診断と、耐震改修工事をすることが「家族と地域のひとの命」を守ることになる。
(林 秀司)

石神井まちづくりの会では耐震診断、耐震改修をはじめ、断熱強化やリフォームなどについて毎月第1土曜日に無料相談会を開催しているので、気軽に申し込んでください。

<耐震無料相談連絡先>
●開催日時:毎月第4土曜日午前10時〜午後6時まで
相談時間は1物件につき1時間から1時間半程度
●相談会場:石神井公園区民交流センター2階(石神井公園駅北口駅前ピアレス2階)
●相談内容:住まいづくり(建て替え、リフォーム、耐震補強、断熱改修などなど)
マンションのリフォーム、賃貸マンション経営、共同ビル建設、店鋪設計など
建築に関わることなら何でもご相談ください。
●相談員:一級建築士数名
●予約方法:氏名、連絡先(TEL/FAX/メールアドレスなど)
相談内容の概要、資料の有無、相談希望日時などを明記のうえ下記宛に
お申し込みください。

※事務局:下河秀行(石神井まちづくりの会代表)
TEL/FAX 03−5393−7381



ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 住まいブログ 住宅設計・住宅建築家へ にほんブログ村 デザインブログ 建築デザインへ にほんブログ村 デザインブログへ にほんブログ村 デザインブログ 店舗デザインへにほんブログ村 住まいブログへ

2012年4月20日金曜日

〜建築家による「無料相談会」のご案内〜

石神井まちづくりの会では一級建築士(会員)による建築相談会を毎月開催しています。お気軽にお申し込みください。

●開催日時:毎月第4土曜日午前10時〜午後6時まで
相談時間は1物件につき1時間から1時間半程度

●相談会場:石神井公園区民交流センター2階(石神井公園駅北口駅前ピアレス2階)

●相談内容:住まいづくり(建て替え、リフォーム、耐震補強、断熱改修などなど)
マンションのリフォーム、賃貸マンション経営、共同ビル建設、店鋪設計など
建築に関わることなら何でもご相談ください。

●相談員:一級建築士数名

●予約方法:氏名、連絡先(TEL/FAX/メールアドレスなど)
相談内容の概要、資料の有無、相談希望日時などを明記のうえ下記宛に
お申し込みください。

※事務局:下河秀行(石神井まちづくりの会代表)
TEL/FAX 03−5393−7381

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 地域生活(街) 東京ブログ 練馬区情報へにほんブログ村 その他生活ブログ 街づくり・地域おこしへにほんブログ村 地域生活(街) 東京ブログへにほんブログ村 その他生活ブログへ

2012年4月6日金曜日

「自立」について


 練馬区が発行している「すぐわかる介護保険」の24年度版ができました。大分分かりやすくなりました。その最初のページを見て、おやっと思いました。

 「介護保険は、介護が必要になっても高齢者が地域で安心して暮らしていけることを目指すとともに、いつまでも自立した生活を送れるよう支援します。」

 上野千鶴子さんによると、「私たちの生きている社会には、老いることを拒否する思想がある。そのため、日本は既に超高齢社会に入っているにもかかわらず、高齢者の意識は社会の変化に追いついていない。そのことが、高齢者の自立と障害者の自立の概念に違いをもたらしている」ということです。

 障害者の自立とは、「私は生きるために誰かに助けてもらわなければならない。だからと言って、その人に従属しなければならない理由はない。」ということですが、高齢者の自立とは、介護を受けないことを指しています。

 このような違いが生じたのは、「障害者が戦って得たものを、高齢者は与えられたからで、高齢者には当事者(私は、介護を受ける権利がある、そのニーズは満たされて当然だ、という)意識が欠落していたからです。即ち、介護保険制度は高齢者が求めてできたものではなく、介護世代が自分たちの負担軽減を求めてできた制度なのです。」とのことです。

 「すぐわかる介護保険」の要介護認定のところを見ると、要介護15、要支援12そして非該当(自立)という区分がありました。つまり介護を必要としない人を自立と言っています。このことから、高齢者の自立と障害者の自立の概念に違いがあるといわれているのです。

 ところが今年度版の「すぐわかる介護保険」の最初のページには、「介護が必要になっても自立した生活を送れるようにするのが介護保険です」と説明しています。これは大きな前進です。介護を必要としない人を自立と呼ぶのは介護する側の発想ですが、最新版の「すぐわかる介護保険」が、利用者(介護される側)の立場に立って自立という言葉を使い、利用者に分かりやすい説明に努めるようになったことは喜ばしいことです。(角さん)



ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村 地域生活(街) 東京ブログ 練馬区情報へにほんブログ村 その他生活ブログ 街づくり・地域おこしへにほんブログ村 地域生活(街) 東京ブログへにほんブログ村 その他生活ブログへ